漢方・薬膳に関するコラム

薬膳は、体に対してよい効果をもたらすことのできる食事です。長い歴史の中で編み出され、多くの人の健康を支え続けてきました。そんな薬膳を作るためには、知っておくべき考え方がいろいろとあります。そういった考え方をきちんと知ることでこそ、正しい薬膳料理を作ることができるでしょう。
薬膳の基本の考え方とは、どういったものなのでしょうか。伝統的な考え方が含まれるので、なかには普段聞きなれないようなことばもあるはずです。今回は基本的な考え方について、くわしく紹介していきます。
薬膳は体質を改善することを目的とした料理です。薬膳には長い歴史があり、自然のものをうまく活かすという伝統が詰まっています。薬膳について知るためには、そういった背景を知ることが必要不可欠です。まずは、薬膳の基礎となる考え方についてみてみましょう。
薬膳は中国の伝統医学である「中国医薬学」の理論がベースとなっています。中国医薬学は中医学とも呼ばれており、漢方薬の基礎となる考え方でもあります。こういった点からも分かるように、薬膳は体への影響を考えて作ります。とはいえ、漢方薬のようにいかにも薬だというような味付けをするわけではありません。おいしく食べることを考えたうえで、体への効果も考慮するというのが基本です。
薬膳は、食べる人の体の状態に合わせて作ります。そのため、自分が食べる薬膳を作るなら、しっかりと体の状態を観察して体の声を聞かなければなりません。仮にどこか具合が悪いのであれば、どのように調子がよくないのかを把握する必要があります。それができないと、体に合った料理を作るのは難しいといえるでしょう。薬膳を作るときはただおいしいものを作ろうと思うだけでは不十分なので、料理に期待したい効果をしっかり意識することが重要です。
薬膳を作るときは、気をつけるべきことがあります。薬膳を作るときの基本となる事柄なので、はじめによく頭に入れておくようにしましょう。
薬膳を作るときは、使う食材がどのような効果をもたらすのかよく考えることが必要です。とくに、旬の食材については、しっかりとその栄養を活かせるように工夫しなければなりません。旬を迎えた食材はとくに栄養価が高いので、薬膳では積極的に活用すべき食材だとされています。さらに、組み合わせる食材や中薬などによって、その栄養素を十分に発揮できるかどうかが変わってきます。ただ栄養がある食材を使うだけでなく、効果をしっかりと出すための食べ方を考慮すべきです。
食べ物の中には、体を温める作用と冷やす作用をもつものがあります。とくに体を冷やす食べ物は体によくないといわれることもありますが、薬膳においては両方とも体に必要なものと考えられています。体が冷え過ぎているときは体を温める食材を摂取する必要がありますし、反対に体が熱をもち過ぎているときは冷やす必要があります。そのため、それぞれの食材は、体の状態を見極めてバランスよく摂取することが重要です。このように薬膳では、足りなければ補い、多ければ取り去るという考え方をします。全ての食材を用いて、そのときの体をベストな状態へ整えることに重きを置いているのです。
薬膳には、陰陽五行説というものが採用されています。そのため、薬膳を作るときはそれぞれの素材がもつこれらの性質を理解し、体の状態に合わせて必要な食材をとることが必要です。たくさんの考え方があるので、ここでしっかりと学びましょう。
食材には「五性(ごせい)」とよばれるものがあります。これは、体を温めたり冷やしたりする性質の分類です。五性には「熱」「温」「平」「涼」「寒」の5つがあり、それぞれには以下の意味があります。
・熱性……体を極端に温める
・温性……体を温める
・平性……体を温めも冷やしもしな
・涼性……体を冷やす
・寒性……体を極端に冷やす
食材には、「五味(ごみ)」とよばれるものもあります。五味は、その名のとおり味わいのことです。「酸」「苦」「甘」「辛」「鹹」の5つがあります。なお、「鹹」というのは、塩辛いことです。五味にはそれぞれ以下の効果があるとされています。
・酸……精神の緊張を和らげる効果。肝の働きを促し、消化を助ける。
・苦……解熱作用。心臓の動きを助け、血液を全身に送り出す。
・甘……食欲増進。脾の働きを促進し、消化吸収をよくする。
・辛……発汗を促す。肺を支えて、呼吸や全身の水分調整を行う。
・鹹……便秘や腫れを改善。腎の動きを促し、水分の代謝を上げる。
「五臓(ごぞう)」は、それぞれ体の部位を表しています。「肝」「心」「脾」「肺」「腎」には五味が対応しており、それぞれの部位について作用します。五臓の役割は、以下のとおりです。
・肝……血の流れをコントロールする。
・心……五臓全てをつかさどる。
・脾……消化吸収を調整する。
・肺……呼吸を整える。
・腎……体内の水分を調節する。
薬膳では、それぞれの「季節」に合わせた食事を作ります。旬の野菜を用いることは、体の状態に合った食事を作るのに役立つとされています。また、それぞれの季節の変わり目は、体調にも変化が起きやすいため薬膳の効果でしっかりと健康を保つことが重要となります。薬膳における季節は、春夏秋冬に梅雨を加えた5つが基本です。
「五行」とは、自然界に存在するものを「木」「火」「土」「金」「水」の5つに分類した考え方です。これらには、それぞれ五味や五臓、季節などが対応しています。その様子は以下のとおりとなっています。
・木……酸、肝、春
・火……心、苦、夏
・土……脾、甘、梅雨
・金……肺、辛、秋
・水……腎、鹹、冬
薬膳の考え方には、いろいろな要素が詰まっています。それぞれは、薬膳を作るうえでとても重要な意味をもちます。長い歴史の中で確立されてきたものなので、多くの人がその効果を感じて「これはよいものだ」と認めています。せっかく薬膳を作るなら、そういった考え方をきちんと理解しておきたいものです。おいしくて理にかなった食事を食べることで、健康を手に入れることができるでしょう。
薬膳をつくるときは、食材の栄養素について考えることに加えて、体との相性を考えることが必要不可欠です。自分自身が強化したい部位に合った食材を選ぶことで、効果的に薬膳の健康効果を享受することができるようになります。そのためには、無理をし過ぎず自分の体の声に耳を傾けることが重要だといえるでしょう。毎日の生活を送るうえでは、つい自分の体のことを後回しにしがちになりますよね。しかし、健康は人生の基本です。薬膳のきちんとした食事の考え方を取り入れて、健康的でかつパワーがみなぎる体作りを目指してみてはいかがでしょうか。
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