「行政書士資格」は「国家資格」であり、その中でも「独占業務」が認められている資格です。
行政書士資格を取得し行政書士会に登録することで、行政書士として、「書類作成業務」「手続きの代理業務」「相談業務」を行うことができます。
行政書士になるには3つのルートがありますが、ここでは一般的なルートである、「行政書士試験を受けて行政書士資格を取得する方法」をご紹介していきます。
行政書士試験は年1回11月に行われており、合格するにはスケジュールをしっかり立て、計画的に学習する必要があります。
効率的な資格取得のため、行政書士試験の内容・合格率・学習方法についてもチェックしていきましょう。
行政書士資格は、国家資格です。
受験資格に制限はなく、どなたでも受けることができます。
そのため、「誰もが公平に受けられる国家試験」として人気があります。
行政書士試験に合格し行政書士会に登録すると、「街の法律家」として、国民と行政をつなげる役割を担います。
行政書士は幅広い法律の知識が必要になるため、勉強することは多いですが、行政書士事務所で働いたり独立して事務所を開業すると、高収入を目指すことができます。
行政書士の主な仕事内容は、3つあります。
それでは、具体的な内容を見ていきましょう。
行政書士は、官公署へ提出する書類を作成し、手続きを代理で行うことができます。
官公署とは、地域の市役所や法務局・警察署などです。
例えば運輸関連であれば、自動車の新規登録・移転登録・車庫証明等の諸手続き・許可申請など、依頼主に代わって行います。
運輸関連以外にも、建設業や旅館・飲食店などの開業・変更に必要な、許認可申請書類手続きの代理等を行います。
行政書士は、手続きの代理だけでなく、官公署に提出する書類の作成も行います。
例えば、建設業許可・会社設立・帰化申請・風俗営業許可等の、書類作成ができます。
上記の各種許認可・届出書類・契約書等を、個人や企業に代わって作成します。
行政書士は顧客が抱える経営・法務問題に関して、関係諸法令に精通する相談者として、アドバイスや新規ビジネスの提案をしたりなど、様々な相談にのります。
相談内容は、遺言・相続手続きに関する相談といった個人レベルの内容から、会社の設立・経営・法務相談といったことまで行います。
現在では、書類を作成しなくても依頼者に相談料を請求できるため、コンサルティング業をメインとする行政書士も多くなっています。
行政書士の取り扱う分野は非常に広範囲に及ぶため、自分の専門分野をいくつかに絞り、その分野の専門家として活躍する方が多くなっています。
自分の得意分野の専門家になれるのが、行政書士の魅力です。
行政書士の平均年収は、300万円~600万円ほどです。
国税庁の「令和元年分民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者の平均年収は436万円でした。
行政書士は業務によって、所得に大きな個人差が生じます。
開業する場合は8割近くが年商500万円以下となっており、自宅兼事務所の1人営業であれば、経費を差し引くと年収450万円程度だと考えられます。
行政書士の平均年収は、民間給与実態統計調査結果と比較すると、高くもなく低くもない平均並みです。
ですが行政書士の場合、実際は1,000万円、2,000万円と稼いでいる方もたくさんいます。
ポイントは、申請料の高い業務に携わることです。
近年では、薬局開設許可の申請料や産業廃棄物処理業許可申請・知的資産経営報告書作成・帰化許可申請といった業務が、申請料の高い業務です。
また、学校法人や宗教法人・社会福祉法人の設立・認可申請、風俗営業に関する申請など幅広い申請業務に携わることで、所得が上がりやすくなる可能性があります。
要するに行政書士は、働き方次第で年収もアップできるため、やりがいのある仕事だと言えます。
行政書士になるには、主に3つの方法があります。
それぞれの方法を、具体的に見ていきましょう。
行政書士法第2条(資格)では、一定の条件を満たした公務員の、行政書士登録を認めています。
一定の条件とは、国家公務員または地方公務員として行政事務を経験した期間が、通算して17年以上(中卒者は20年以上)ということです。
つまり、大卒後すぐの22歳から公務員になり17年間行政事務に携わっていた場合、40歳以降は行政書士の特任制度を利用して、行政書士として働くことができるのです。
実際、公務員退職後に行政書士事務所を開業するケースも見られるため、公務員として働いていた方なら知っておきたい制度です。
行政書士法第2条(資格)では、「次のいずれかに該当する場合、行政書士となる資格を有する」としています。
行政書士は、様々な知識が必要です。
その知識が、他の資格の知識と重複したり、役立ったりすることがあります。
例えば「知的財産法」を取り扱う弁理士は、特許や意匠・商標の出願手続も許認可申請手続も、行政手続という点では似た部分があり、弁理士資格をあわせ持つことで業務の幅も広がります。
そこで、これから弁理士とダブルライセンスを取る場合、最初に弁理士資格をゲットすることで、行政書士の資格も取得できます。
逆に、行政書士を先に取った場合は、弁理士の論文試験(選択科目)が免除です。
他の資格も取りたい方は、先にどちらを取るべきか、事前に考慮しておきましょう。
行政書士法第2条(資格)では、「行政書士試験に合格した者」も、行政書士資格を有するとしています。
この方法が最も一般的な、行政書士になる方法です。
行政書士法第3条(行政書士試験)では、毎年一回以上、行政書士試験を行うことが定められています。
例年11月に行われており、公務員でもなく弁護士や弁理士等の資格も持たない方は、行政書士試験を受けて行政書士になりましょう。
ここからは、行政書士試験の内容について、詳しく見ていきます。
「行政書士って難しいんでしょ?」「受験資格ってあるの?合格率は?」など、気になる疑問点を解決していきましょう。
既にご紹介した通り、行政書士試験はどなたでも受けることができます。
年齢や学歴も関係なく受験できるため、高卒でも中卒でも受験資格はあります。
令和元年度の行政書士試験では、申込者の最年長は95歳、最年少は12歳です。
幅広い年齢層の方がチャレンジしており、事前に試験内容をしっかり学習し、国家資格「行政書士」を手に入れましょう。
受験手数料は7,000円です。
試験日は、例年11月の第2日曜日です。
試験時間は午後1時から4時まで(3時間)で、時間配分に気を付け、試験時間は集中できるよう体調を整えましょう。
申し込み期間は、7月下旬~8月下旬までです。
インターネットでも申し込みできますので、早めに受験願書・試験案内を請求し、申し込みを完了しましょう。
行政書士試験の内容は、「行政書士の業務に関して必要な法令等」と、「行政書士の業務に関連する一般知識等」があります。
科目 | 内容 |
---|---|
法令(出題数46題) | 憲法、行政法、民法、商法、基礎法学 |
一般知識(出題数14題) | 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解 |
法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題されるため、法改正に気を付けて勉強する必要があります。
法令の出題形式は択一式及び記述式となっており、条文や判例を中心に細かい部分や紛らわしい部分も、過去問等を参考にしてしっかり学習しましょう。
一般知識の出題形式は、択一式です。
範囲が広く、様々な分野から出題されるため、一定の知識を幅広く勉強することがポイントです。
普段から新聞やテレビニュースなど、時事問題に関する言葉を意識し、知らない言葉はないかチェックしましょう。
行政書士試験の合格率は、約8%~15%前後です。
直近の2019年度では、受験者39,821名うち合格者4,571名の、合格率11.5%です。
行政書士試験では、法令・一般知識のそれぞれに合格基準点があり、下記要件をいずれも満たした受験生が合格です。
点数に換算すると、「法令等の得点が244点中122点以上」「一般知識等科目の得点が56点中24点以上」「試験全体の得点が300点中180点以上」です。
法令だけ学習して試験全体の得点が180点以上取れても、一般知識の得点が24点以上取れていなければ不合格です。
実際、「試験全体の得点では合格基準点に達したが、一般知識等科目で基準点に届かず不合格…」という方がいます。
そうならないためにも、法令だけを学習するのではなく、一般知識も並行して学習しましょう。
また、法令等科目で122点・一般知識等科目で24点取れると、各科目の合格基準点には達していますが、試験全体の得点が満点の60%(180点)に達しません。
各科目の合格基準点では、総得点で34点不足しますので、法令等科目で得点をしっかり取れるようにしましょう。
一般知識等科目は、試験範囲が広く出題予測も難しいため、法令等科目で得点を取ることが重要です。
特に、全体(300点)の約25.3%の得点(76点)を占める「民法」と、約37.3%の得点(112点)を占める「行政法」を、どれだけ攻略できるかがポイントです。
行政書士試験の学習方法に指定はなく、独学・通信教育・通学のどの方法でも学ぶことができますが、効率よく勉強したい場合、「SARAスクールジャパン」のような通信教育がおすすめです。
行政書士試験に合格した方の平均学習時間は、約900時間です。
1日2時間勉強した場合では、15か月必要です。
学習方法に独学を選んだ場合、初学者では効率よく勉強することが難しいため、900時間以上の学習時間が必要です。
そうなると、15か月よりも更に学習時間が長くなってしまうため、精神的に疲れてしまう可能性が出てきます。
そこで、おすすめの学習方法が、通信教育です。
通信教育で勉強した場合、平均学習時間は約600時間です。
1日2時間勉強した場合、10か月必要です。
繰り返しになりますが、行政書士試験の出題範囲は幅広いです。
初めて学習する方では、聞き慣れない法律用語が出てきたり、どこに焦点を置いたらいいのか分かりづらかったりします。
そんなときに通信教育を利用していると、聞きなれない法律用語はかみ砕いて説明してもらえたり、ポイントを絞った学習で覚えるべきところが分かりやすくなっていたりします。
効率よく&ストレス少なく学習したい場合、「SARAスクールジャパン」のような通信教育がおすすめです。
通信教育では、何をどう進めるか、学習スケジュールの作成が容易です。
すでに作成されていたり、作成しやすいように示してあったり、その週に取り組むべき課題を教えてもらえます。
無理なく学習できるのが、大きな魅力です。
行政書士資格は法律の知識を持っている証となり、行政書士会に登録すると、行政書士事務所で働いたり独立開業したりできます。
行政書士は、弁護士や司法書士のように法律を扱う国家資格のため、街の法律家として幅広い仕事に携わることができます。
「独占業務」もあり、行政書士の資格を持っていなければできない業務もあります。
行政書士資格を取りたい場合、行政書士資格に合格することがオーソドックスな方法です。
行政書士資格は試験範囲が広いため、初学者が効率よく勉強するには、「SARAスクールジャパン」のような通信教育がおすすめです。
例年11月に試験があり、早めのスタートが合格への一歩に繋がります。
ゆとりを持って勉強を開始すると、過去問題集や予想問題集を多く解くことができます。
行政書士資格は合格率8%~15%前後の試験のため、「絶対に行政書士になる」という強い意志を持って、学習をスタートさせることが大切です。