華道・生け花の歴史とは?
記事更新日:2024年10月22日華道と生け花は、日本の伝統文化の中で深い歴史と美学を持つ芸術です。
華道は、花を単に美しく飾るだけではなく、自然との調和や季節感を重んじた哲学が根底にあります。
また、歴史を通じて生け花はさまざまな変遷を遂げ、現代に至るまで多くの人々に愛されています。
現在でも多くの人を魅了している華道や生け花には、どのような歴史があるのでしょうか。これから華道や生け花を始めたいと思っているなら、華道や生け花の歴史についてしっかりと理解しておいたほうがいいでしょう。歴史を理解することが、実際に花を活けるうえでも大きく役立つ可能性が高いです。
今回は、華道や生け花の歴史について説明します。華道や生け花の歴史がよくわからない人は、ぜひこの機会に華道や生け花の歴史について理解を深めましょう。
目次
華道の基本とその魅力
華道は、日本の伝統文化の一つとして長い歴史を持ち、花を使った美の表現が魅力的な芸術です。 花を単に飾るだけではなく、自然との調和や季節感を大切にする華道には、奥深い哲学と美意識が含まれています。 ここでは、華道の概要や特徴、伝統文化としての位置づけ、そして現代における価値について詳しく解説していきます。
華道の概要と特徴
華道は、単なるフラワーアレンジメントとは異なり、日本の自然観や哲学に基づいた芸術的な花の生け方です。 華道の基本的な理念は、花の自然な美しさを引き出しつつ、空間とのバランスを追求することにあります。 また、華道の実践を通じて、精神的な修養や自己表現を深められるのも大きな特徴です。
伝統文化としての位置づけ
華道は、茶道や書道と並び、日本の三大伝統文化の一つとして位置づけられています。 その起源は古く、平安時代にまで遡り、当初は神前に花を供える宗教的な行為として始まりました。 次第に、室町時代に入ると芸術的要素が強まり、形式美が追求されるようになります。 華道には複数の流派が存在し、それぞれが独自の美学と技法を発展させてきました。 特に、茶道や建築と深く関わりを持ち、室内の装飾としての役割も重要です。 華道は日本の伝統的な美意識を象徴するものであり、和の文化を理解する上で欠かせない要素となっています。
現代における華道の価値
現代においても、華道は日本の文化遺産としての価値を維持しながら、社会的な変化に対応しています。 例えば、現代の住宅事情やライフスタイルに合わせた新しい表現が生まれており、従来の伝統的な形式だけでなく、モダンなインテリアにも調和するデザインが増えています。 さらに、華道を通じて自然とのつながりや季節の移り変わりを感じられるため、忙しい現代人にとって心の癒しやリフレッシュの手段としても注目されているのです。 また、国際的にもその美しさが評価されており、海外でも華道を学ぶ人が増加しています。 こうした動きは、華道が単なる日本の伝統文化としてだけでなく、グローバルなアートフォームとしても価値を持ち続けていることを示しています。
華道の歴史的背景
華道の歴史は、単なる芸術的な花の配置にとどまらず、日本の宗教的、文化的な背景に深く根ざしています。 長い時代を経て発展し、さまざまな変遷を遂げた華道は、日本文化の重要な一部として広く認知されています。 華道の誕生から初期の発展について詳しく解説し、その背景にある宗教的な要素と、初期の華道の特徴について解説していきます。
華道の誕生と初期の発展
華道の起源は、平安時代に遡ります。 当時、神道や仏教の影響を受けた宗教儀式の一環として、花を神仏に供える「供花(くげ)」が行われていました。 この宗教的な行為が、後の華道の基盤となり、花を生ける文化が徐々に芸術的な要素を帯びていくようになります。 ここでは、華道の誕生と初期の発展について詳しく解説します。
宗教的な背景と生け花の始まり
華道の起源において、宗教は重要な役割を果たしています。 特に、仏教の影響が強く、仏教儀式の中で花を供えることが一般化しました。 仏教寺院では、仏像の前に花を飾る「供花」が行われ、花そのものが仏教における悟りや輪廻の象徴として捉えられていました。 この供花が、生け花の最初の形式とされています。 供花は、単なる装飾ではなく、宗教的な意味合いを持つ神聖な行為であり、花を通して自然や神仏との対話が行われていました。 平安時代の宮廷では、これがさらに形式化され、貴族たちの間で花を生ける文化が発展していきました。これが、後に華道として発展する最初の一歩となります。
前期の華道とその特徴
平安時代から鎌倉時代にかけての華道は、主に宗教的な儀式や貴族の文化の中で発展しました。 特に室町時代に入ると、華道は一つの芸術形式として確立され、茶道や能と並ぶ日本の伝統文化としての地位を確立しました。 初期の華道の特徴としては、シンプルでありながらも神聖さを感じさせる構成が見られます。 花そのものの美しさを引き立てるために、自然な形を尊重し、余分な装飾を控えたスタイルが主流でした。 また、花を生ける場所も特定の場に限られており、宗教的な祭壇や特定の儀式の場でのみ行われていました。 この時期の華道は、まだ形式的なルールが少なく、個々の感性に基づいて花が生けられていましたが、室町時代以降、徐々に技法や構成のルールが発展し、現代の華道の基礎が形成されていきます。 華道の歴史的背景を知ることで、その文化的意義や宗教的な意味合いを理解でき、現代における華道の実践にも新たな視点が加わるでしょう。
生け花の発展の軌跡
生け花は、日本の歴史とともにさまざまな変遷を遂げ、現代に至るまでに大きく発展してきました。 特に、室町時代から江戸時代にかけて、芸術としての生け花は洗練され、さまざまな流派が誕生しました。 ここでは、生け花の進化の過程で特に重要な役割を果たした「池坊」の歴史と、生け花がどのようにして現代の形へと進化していったのか解説します。
池坊の役割と生け花の進化
池坊は、生け花の世界において最も古い流派であり、その歴史とともに生け花の発展に大きく貢献してきました。 池坊の創始者である池坊専慶が仏教の儀式の一環として花を生けたことから始まり、その後の世代で形式化され、華道としての基礎が築かれました。 池坊が果たした役割と、生け花がどのように進化してきたのかについて詳しく解説していきます。
安土桃山時代から江戸時代初期にかけての変遷
安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、生け花は貴族や武士階級の間で特に重んじられるようになりました。 この時期には、茶道や書道と同じく、生け花も「道」としての位置づけが確立され、精神修養や美的感覚の追求が重要視されました。 特に池坊流派は、こうした文化的背景の中で生け花の芸術的価値を高める役割を果たしています。 この時代の生け花は、シンプルかつ力強い構成が特徴で、限られた花材を使いながらも空間を生かした表現が求められました。 また、安土桃山時代の豪華絢爛な文化の影響も受け、一部では装飾的な要素が強調されることもありましたが、池坊流ではあくまで自然の美しさを重視した生け方が重んじられました。
江戸時代中期と後期における革新
江戸時代中期から後期にかけて、生け花の技術や表現方法はさらに革新を遂げています。 この時期には、生け花の技法が高度化し、より複雑な構成やバランスが追求されるようになりました。 特に、池坊の流派では「立花(りっか)」と呼ばれる格式の高い生け花の形式が発展し、儀式や重要な場での花の飾り方として定着しました。 立花は、自然界の山や川、草木の景色を表現することを目的としており、その構成には高度な技術が要求されました。 この形式は、花材の選び方や配置のバランスに厳格なルールがあり、立体的かつ動きのある表現が特徴です。 こうした複雑な技法が発展する一方で、江戸時代後期には「生花(しょうか)」と呼ばれるよりシンプルな形式も登場し、一般の人々にも親しまれるようになりました。
明治以降の華道の変遷
明治時代に入ると、日本の社会や文化は西洋の影響を受けて大きく変化し、華道もその影響を避けることはできませんでした。 伝統的な芸術である華道は、時代の流れとともに進化し、新しい形を模索していきました。 ここでは、明治から昭和、そして戦後にかけての華道の発展と変遷を詳しく解説します。
近代化と華道の新たな展開
明治時代に日本が西洋化を進める中で、伝統的な文化や芸術はしばしば時代遅れと見なされることがありました。 しかし、華道はその中でも新たな価値を見出し、近代社会の中で生き残るための工夫がなされました。 明治から昭和初期にかけての華道の変化と、戦後の復興期における華道の新たな展開について解説していきます。
明治時代から昭和初期にかけての影響
明治時代の初期、日本は急速な近代化を遂げ、政府は西洋文化を取り入れる一方で、伝統的な文化の保護や保存にも力を入れました。 この時期、華道もまた西洋文化の影響を受けつつ、その伝統を守るための新しい方向性を模索しました。 例えば、華道は貴族や武士の特権的なものから、より一般の人々に普及するようになり、教育機関でも華道が教えられるようになりました。 これにより、華道は社会的な地位に関わらず、多くの人々が学び実践するものへと変わっていったのです。 また、洋風の建築や室内装飾の影響を受け、生け花のスタイルも変化し、西洋のインテリアに合わせた花の生け方が登場しました。 この時期、華道は日本国内だけでなく、海外にも紹介され、国際的な文化交流の一環としても注目されました。 華道は、伝統を保ちながらも、時代のニーズに合わせた柔軟な発展を遂げました。
戦後の華道の変容
戦後の日本では、経済復興とともに生活様式が大きく変わりました。 新しい住宅事情やライフスタイルに合わせて、華道もまたその形を変えざるを得ませんでした。 従来の日本家屋に適した大きな花器や装飾的な生け花が、よりコンパクトでモダンなスタイルへと進化したのです。 戦後の華道界では、さまざまな革新的な試みが行われ、現代アートとの融合や、自由な発想による新しい花の生け方が登場しました。 特に、1950年代から1970年代にかけては、戦前の伝統的な技法を継承しつつ、個性を重視した創作活動が盛んに行われ、華道は再びその芸術的価値を高めました。 さらに、女性の社会進出が進んだこともあり、華道は家庭や職場でも広く実践されるようになり、単なる装飾の域を超えて、精神的な豊かさやリフレッシュの手段としても受け入れられるようになりました。 華道は、時代の流れに応じて進化し続け、現代に至るまでその美しさと意義を保っています。伝統的な形式にとらわれず、自由な表現を追求する現代の華道は、古くからの美意識を継承しながら、新しい時代の文化と結びついています。
現代の華道とその展望
華道は長い歴史を経て現代に至り、その伝統を守りつつも新しい挑戦と融合を試みています。 伝統的な技法を尊重しながらも、現代のライフスタイルや価値観に合わせて変化を遂げる華道は、国内外でその魅力を広げ続けています。 ここでは、現代における華道の普及や国際化、そして未来に向けた挑戦やアートとの融合について詳しく解説します。
現代における華道の普及と国際化
現代の華道は、国内外での普及と国際化が進んでいます。 伝統文化としての華道は、日本国内だけでなく、世界中で多くの人々に親しまれるようになりました。 華道がどのようにして国際的な広がりを見せ、現代社会でどのように普及しているのかを考察していきます。
華道の未来と新たな挑戦
華道の未来は、伝統を守りながらも、新しい形を取り入れることにあります。 デジタル技術の進化や環境問題に対する意識の高まりといった現代の課題に対して、華道はどのように対応していくのでしょうか。 未来の華道は、従来の枠組みを超えて、新たな挑戦を追求する必要があります。 一方で、華道の魅力はその精神性にもあります。 花を生ける行為を通じて自然と向き合い、心を整えるという点は、現代社会においても大きな価値があります。 特に、ストレスの多い現代社会では、華道が持つ精神的な効果は一層重要視されているのです。 華道が新しい挑戦を追求する一方で、環境に優しい花材の選択や、持続可能な生け花の在り方についても検討されており、次世代に向けた華道の発展が期待されています。
現代アートとの融合
現代において、華道は伝統的な形式を超え、現代アートとの融合という新たな領域にも挑戦しています。 従来の厳格な技法や形式に縛られることなく、より自由で創造的なアプローチが可能となっているのです。 現代アートとの融合により、華道は単なる伝統文化としてだけではなく、現代社会におけるアートの一つとしても注目されています。 華道と現代アートの融合は、特に若い世代や国際的なアーティストにとって新鮮なインスピレーションを提供しています。 伝統的な花材や技法を使用しつつ、インスタレーションやパフォーマンスアートといった新しい表現手法を取り入れることで、華道はその枠を広げ、より多様な形で発展していく可能性が高いです。 こうしたアプローチにより、華道はこれまでにない視点で再評価され、アートシーンにおいても存在感を増しています。 伝統を守りつつ、現代的な表現と融合させることで、華道はこれからも進化し続け、より多くの人々にその魅力を届けられるでしょう。
華道における季節感と自然との調和
華道は、単なる美しい花を生ける芸術ではなく、自然との深い調和を重んじた伝統的な文化です。 その中でも特に重要なのが「季節感」です。 四季が明確に分かれている日本では、華道は自然の移ろいを表現するための手段として発展してきました。 季節ごとの植物の選び方や、花材の使い方によって、華道作品にはその時々の季節の雰囲気が反映されます。 ここでは、華道における季節感の重要性と自然との調和がどのように表現されているのかを詳しく解説していきます。
四季を感じる花材の選び方
華道の作品に季節感を取り入れるためには、花材選びが非常に重要です。 春、夏、秋、冬それぞれに適した花や植物を使うことで、その季節の空気や雰囲気を作品に込められます。 花材は、その季節に自然界で見られる植物が中心となり、鑑賞者に「今」という時期を感じさせる効果を持っています。 花材を選ぶ際は、花そのものの美しさだけでなく、その背後にある自然の変化を意識します。 例えば、春には新芽や柔らかい緑を使って生命の息吹を表現し、秋には紅葉や実りを通じて豊穣の季節を感じさせることが可能です。 このように、花材選びは華道の中でも重要なプロセスであり、作品全体のテーマを左右する要素です。
春夏秋冬に合わせた表現技法
四季それぞれに適した花材を選ぶだけでなく、表現技法も季節に応じて変化します。 春は、新たな生命の誕生を象徴するような軽やかで開放的なアレンジが特徴です。 例えば、桜や梅、桃の花を使った生け花では、枝の伸びやかな曲線が自然の力強い息吹を表現します。 また、新緑の葉や若芽を加えることで、春の新鮮な息吹がより際立つ表現が可能です。 夏には、涼しさを感じさせるアレンジが好まれます。 涼しげな青や紫の花を中心に、葉や茎のしなやかなラインを生かしたデザインが、暑さの中での清涼感をもたらします。 例えば、紫陽花や朝顔などが使われ、茎の長さや花の配置に工夫を凝らすことで、軽やかな風を感じるような表現が可能です。 水を多く使ったアレンジや、葉を際立たせる技法も夏の華道の特徴です。 秋は、収穫や成熟を象徴する深みのある色合いと落ち着いた雰囲気が求められます。 紅葉や実りのある植物、またはススキなどが使われ、豊かな実りを感じさせるアレンジが行われます。 色のコントラストや陰影を意識しながら、落ち着いた空気感を生け花に込めることが秋の技法の特徴です。 冬は、静寂とともに生命の内なる力を感じさせる表現が多く見られます。 椿や南天など、冬でも鮮やかな色を持つ花が使われ、シンプルでありながらも強い印象を与える作品が生まれます。 また、白い雪を連想させる花材や、枝物を大胆に使った構成によって、冬の厳かな雰囲気を表現します。 冬の華道では、少ない花材でも存在感を引き出す技術が重要です。 華道は、四季の移ろいと自然との調和を通じて、日本の風土に根ざした美意識を表現する芸術です。 季節感を大切にした花材選びと、それを活かす技法によって、華道は鑑賞者に深い感動と自然への敬意を与え続けています。 四季折々の自然の変化を反映した作品は、その瞬間を捉えた一瞬の美を見事に表現しています。
華道における精神的な成長と心の鍛錬
華道は、花を美しく生けるだけの技術ではなく、精神的な修養を伴う芸術です。 花と向き合い、その一瞬の美しさを引き出す過程を通して、華道は創造者の心を鍛え、内面的な成長を促します。 花を生けるという行為は、外の世界を映し出すと同時に、自分自身と向き合う時間でもあります。 華道においては、精神の鍛錬や自己探求が重要な要素であり、これが華道の深い魅力の一つです。 華道がどのように心を落ち着かせ、精神的な成長を促すかについて詳しく解説していきます。
心を落ち着かせる華道の作法
華道には厳格な作法が存在し、その一つ一つが精神を集中させるために設けられています。 花を生ける際には、ただ美しい形を作ることだけが目的ではなく、その過程で心を落ち着け、内なる静けさを取り戻すことが重要です。 作法は、単なる形式ではなく、心の準備を整えるためのものであり、精神的な清らかさを保ちながら作業に取り組むことを促します。 華道の作法には、まず静かで落ち着いた環境を作ることが大切です。 無駄な音や動きがない空間で花と向き合うことで、集中力が高まり、心を鎮められます。 また、道具の扱いも慎重に行われ、無駄のない動きが求められます。 これにより、心が整理され、余計な思考を排除できるのです。
自然と向き合うことで得られる内省
華道において、最も大切な要素の一つは、自然との対話です。 花や枝、葉といった自然の素材を手に取り、それらが持つ本来の美しさを引き出すためには、自然の力を尊重し、深く観察することが求められます。 この過程で、創造者は自然との一体感を感じ、静かな内省の時間を過ごせます。 自然と向き合うことは、自己と向き合うことでもあります。 華道の花材は、時に不規則で、予測不能な形をしていますが、その中から美しさを見つけ出すことが重要です。 このように、自然の不完全さや予測できない要素を受け入れることで、創造者自身も自分の中にある不完全さを認め、内面的な成長を遂げることができます。 華道の中で花を生ける行為は、心の静けさを取り戻し、自分自身を見つめ直す機会でもあるのです。 内省の時間は、花と自然に集中することで生まれます。 花材を慎重に選び、その美しさを引き出すために工夫を凝らすことで、自然の持つ生命力やエネルギーを感じられます。 このように、華道はただ美しい花を飾るだけでなく、創造者の心の中にある静けさやバランスを取り戻すための手段でもあるのです。 華道の過程では、自然の素材を尊重し、その一瞬の美を捉えることが重要視されます。 これにより、創造者は日常生活の喧騒から離れ、自己の内面に深く入り込む時間を持てるのです。 自然と向き合うことで得られる内省は、華道を通じた精神的な成長の一つの側面であり、花を生けることで心が鍛えられます。
華道とは?
そもそも華道とは、どのようなものでしょうか。華道は、日本で発祥した芸術です。具体的には、草花や樹枝を組み合わせながら花器に挿していきます。そして、全体の美しさを感じます。また、四季や命の尊さを表現したり、鑑賞したりすることも、華道にとって重要な要素です。華道では、単に花を美しく活けるだけではありません。華道を身につけるなかでは、礼儀作法や心身の鍛錬も追求していきます。そのようにして人間性とともに技術を磨いていくことにより、多くの華道家が生まれ、さまざまな技法や流派も派生しています。
華道の起源
華道は、いつ始まったものなのでしょうか。華道が発祥した時期は、実は明確になっていません。ただし、華道の起源は仏教に由来しているとされることが多いです。というのも、仏前に備える供花の風習が次第に華道として確立されていったと考えられているからです。実際のところ、最も古い華道の家元とされているのは、池坊(いけのぼう)の初代である池坊専慶という人物であり、この人は僧侶でした。そういった点から考えると華道は古くから人々にとって重要なものとして根付いてきたといえるでしょう。
生け花の成立
華道の発祥は明確ではありません。しかしながら、生け花として成立したのは室町時代だといわれています。具体的には、どのようにして生け花が成立したのでしょうか。生け花に取り組むのであれば、このポイントをしっかり理解しておくことが必要不可欠だと言えます。ここでは、生け花が成立した室町時代の様子について説明するので、ひととおりしっかりと確認しておきましょう。
前期
生け花が成立したのは、室町時代の前期です。この頃は、建築様式の書院造りが始まった時期でもあります。書院造りは、床の間の原型となる押板や違い棚などがあるのが特徴的です。床の間に飾ることを目的としているため、一定の方向から見ることを前提として生け花が成立しました。 生け花においては、草花にも人間と同じ命が宿っているという思想も重視されます。これにより、華道の形式も整っていったといわれています。また、仏の三具足も整備されたことにより、立て花を飾る風習も生まれるようになります。ここで登場するのが、華道の最も古い家元である池坊専慶です。東福寺の禅僧の日記として残っている「碧山日録」には、実際に記録もあります。具体的には、寛正3年(1462年)に、六角堂の僧侶であった池坊専慶が挿した花が京都で評判になったとされています。
後期
室町時代の後期になると、生け花が理論としてしっかり確立されるようになります。池坊には古くから伝わる「花王以来の花伝書」があります。これが現存する最古の花伝書といわれています。
生け花の発展と池坊
生け花が生まれた後は、実際にどのようにして発展していったのでしょうか。生け花の発展は池坊が大きく牽引しています。生け花の発展の様子は、現在の生け花について理解するために必要な上方となるでしょう。ここでは、生け花の発展の様子について解説するので、きちんとその状況を見てみましょう。
安土時代~江戸時代前期
安土時代~江戸時代前期は、立花が普及していった時代です。池坊専好により、生け花における池坊の地位も確立されました。ただし、全体の歴史の中で見ると、この頃はまだ初期段階であり、現在に伝わる生け花とは雰囲気が微妙に異なっています。
江戸時代中期
江戸時代中期になると、立花のみが注目される状況が変化します。具体的に言うと、この頃に生花が発祥しました。生花とは、簡略ながらも格調高い花形を意味しています。生花が誕生したことにより、生け花はさらに奥が深いものへと変貌していくのです。
江戸時代後期
江戸時代後期になると、池坊専定によって立花について革新がもたらされました。理想的な樹形を作る「幹作り」が特徴的です。また、この頃になると、池坊の門弟数が数万人規模に増大していきます。名実ともに池坊が華道における重要なポジションを得ている様子がうかがえます。江戸時代の後期は、次の時代へと変化する激動の時期でもあります。そのようななかでは、徐々に生け花についても変化の兆しが見えていた可能性があるでしょう。
明治時代~昭和初期
明治時代~昭和初期になると、池坊専正による正風体が導入されるようになります。この頃は、生活様式が洋風に変化し、人々の暮らし方も大きく変わった時代です。そのため、華道においても、それを反映した形態が生み出されました。具体的には、この頃に盛花が成立しています。現代においては、盛花が花の活け方の中でも、最も身近に感じられるものといっても過言ではないでしょう。
それ以降
その後から現在にかけても、華道や生け花はどんどんその存在感を増しています。最近では、華道や生け花の考え方が海外にも広まっています。華道では、活けた花によって儚さを表現するのもひとつの特徴となっています。そのような考え方をするのは、世界で見ても華道ならではのものだといえます。そのことから、華道は唯一無二のものとして注目されているのです。華道の技法は、池坊のものが基本となっています。しかし、実際の技法は時代に適応しながらどんどん発展を続けています。そのため、今後も時代に合わせて異なる考え方や技法が生まれる可能性もあるでしょう。
華道や生け花の歴史について理解しておこう
華道や生け花は、古い時代から長い歴史を経て現代に伝わっています。そのため、さまざまな人の考え方や技法によって変化を遂げてきているのです。華道や生け花にはさまざまな人の思いが詰まっています。そういったことをしっかりと理解したうえで華道や生け花に励むことができれば、華道や生け花についてより高い技術を身につけることができるようになるでしょう。華道や生け花の歴史は、単に知識として頭に入れるだけでなく、当時華道や生け花をおこなっていた人々がどのように感じていたのかについてまで考えながら学ぶといいです。自分なりにイメージしてみることで、華道や生け花に対する認識や捉え方にも変化が出る可能性があります。
華道や生け花においては、単に美しく花を活ければいいというわけではありません。命の尊さについて考えたり、活けた花を見た人にどのような影響を及ぼすのかについてまでしっかり意識したりする必要があるでしょう。もちろん、華道や生け花を始めたばかりの段階で、すべてをうまくおこなえるわけではありません。華道や生け花に精通するためには、長い年月をかけて鍛錬を積む必要があります。実際、華道や生け花を極めている人は、長い時間をかけて華道や生け花に向き合っているのです。華道や生け花を始めるなら、まずはその歴史や関わってきた人々の思いについて理解するところから始めましょう。
まとめ
華道と生け花は、日本の美意識を象徴する伝統的な芸術であり、その歴史的な背景や宗教的な影響を深く反映しています。 時代の変遷とともに技術や形式が進化し、多くの流派が誕生しました。 現代でもその魅力は色あせることなく、国内外で広く認知されています。 華道の精神性や自然との調和を通じて、これからも多くの人々に感動と心の安らぎを与え続けるでしょう。
- 通信講座のSARAスクール編集部
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心理カウンセラー資格やリンパケアセラピスト等の体系資格、食育資格などを扱うSARAスクール編集部が運営するコラムです。主に女性向けのキャリアアップやスキル習得を目的とした講座が多く、家事や育児と両立しながら学べる環境が整っています。資格取得を目的とした講座も充実しており、仕事や日常生活に活かすことが可能です。