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発酵のメカニズムとは?具体的なメカニズムを紹介

発酵は、それぞれの食材に対してさまざまな作用を及ぼすものです。食品をよりおいしくさせたり、保存がきく状態にしたりするなど、さまざまな魅力ある効果をもたらします。食品を発酵させると、元の材料にはない成分を作り出すことができるため、食品をよりよい状態にすることができます。

ところで、発酵とはどのようなメカニズムによって起きているのでしょうか。今回は、発酵のメカニズムについて具体的に説明します。発酵食品についての理解を深めたいという方は、この機会にぜひ発酵食品のメカニズムを確認しておきましょう。

発酵のメカニズムとは?具体的なメカニズムを紹介

発酵とは?

発酵とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。発酵のメカニズムを知る前に、発酵とはどのようなものであるかについておおまかなところをしっかり押さえておいたほうが、理解がしやすくなるはずです。まずは、発酵の概要について押さえておきましょう。発酵について基本的なところを説明します。

微生物の力によってアルコールや炭酸ガスを作りだす

発酵は、微生物の力を使うことにより、アルコールや炭酸ガスを作り出すことをさしています。そのことにより、食材をもととは異なる状態に変化させます。そして、味や風味に変化をもたらしたり、食品の保存性を高めたりすることができます。

人間にとって有効な微生物が働くこと

発酵のカギとなる微生物は、人間にとって害をもたらすことはありません。人間にとって有害な菌が働けば腐敗が起きますが、発酵のために働く微生物はそういったことは起こしません。ただし、発酵させている間の環境がよくないと、人間によくない菌があらわれることもあるので注意が必要です。発酵をおこなうときは、適切な温度や湿度の管理が重要になります。

発酵食品の仕組み

発酵食品は、具体的にどのような仕組みによって出来上がっているのでしょうか。発酵食品を食べるのであれば、そういった点にも注意しておきたいところです。ここでは、発酵食品がどのような仕組みによってできているのかについて説明します。

微生物が持つ酵素が作用

発酵食品は、微生物の働きによって作り出します。微生物が発酵を進めることができるのは、さまざまな酵素をもっているからです。微生物がもつ酵素が働くことによって、さまざまな発酵食品が生まれています。

でんぷん質やタンパク質を分解

微生物がもっている酵素は、でんぷん質やタンパク質を分解します。そうすることで、それまでになかった新しい物質を作ることができるようになります。新しい物質が生み出されることにより、それまでなかった風味や味などが生み出されます。そして、よりおいしい状態や保存がききやすい状態へと変化するのです。

お酒ができるメカニズム

発酵食品といえば、お酒もそのひとつといえます。お酒はどのようにして発酵が進められ、出来上がっているのでしょうか。発酵の仕組みについて理解を深めるには、お酒ができるメカニズムについても押さえておきたいところです。ここでは、お酒がどのようにしてでき上るのかについてメカニズムを説明します。

原料に酵母を加える

お酒を造るためには、まず原料となる材料が必要です。日本酒なら米、ワインなどブドウなど、それぞれのお酒の種類に合った材料を用意します。そして、そのお酒に合った酵母を加えることで、意図する変化を起こさせるようにします。

デンプンを糖分に分解

酵母を入れた状態で原料を置いておき、材料に含まれるデンプンを糖分に分解していきます。これを糖化とよびます。デンプンを糖化することにより、発酵を進めていくのがポイントです。

分解するときにアルコールと二酸化炭素が発生

デンプンを糖分に分解すると、アルコールと二酸化炭素が発生します。これが発酵そのものに当たります。発酵をきちんと進めるためには、発酵に適した環境をしっかりと用意しておくことが必要です。環境の管理ができないと、腐敗を引き起こす可能性もあるので注意しなければなりません。

ビールなどの炭酸入りは密閉状態で発酵

ビールのように炭酸が含まれるアルコールを作るときは、密封状態で発酵させています。そうすることにより、炭酸を飲料のなかにしっかりと閉じ込めることが可能になります。密閉していなければ炭酸ガスは徐々に抜けるため、炭酸が入っていないアルコール飲料はそのようにしてガスを自然に抜いています。

味噌ができるメカニズム

では、発酵食品の代表ともいえる味噌は、どのようなメカニズムによりできているのでしょうか。味噌は日本独自の発酵食品であり、日本古来の材料によって作られている発酵食品です。発酵食品の作り方を押さえておきたいなら味噌がどのようにできあがるのかということは、とても興味深いことだといえるでしょう。ここでは、味噌ができるメカニズムについて説明します。

大豆、麹菌、塩などを投入

味噌を作るときは、原料となる大豆に麹菌や塩などを投入します。そうすることにより、味噌に含まれる麹菌が働き始め、発酵が進められていきます。麹菌は日本独自の発酵食品に使われてきたもので、日本酒や醤油を作る場合でも必ず使用します。

アミラーゼやプロテアーゼといった酵素ができる

味噌の発酵が始まると、アミラーゼやプロテアーゼといった酵素ができます。これらの酵素が味噌の発酵を進め、成分を分解していきます。分解が進むと、ぶどう糖、アミノ酸、脂肪酸といった成分ができていきます。

独特な風味やビタミン類が生成される

味噌の分解が進んでさまざまな成分ができていくと、味噌の独特の風味がついていきます。さらに、それまではなかったビタミン類なども生成され、味噌独自の栄養が豊富な状態に変化していきます。このような流れを経ることにより、それまでの材料とは違う、新たなおいしさを生み出すことができるのです。

発酵にはさまざまなメカニズムや仕組みがある

発酵にはさまざまなメカニズムや仕組みがある

食品の発酵を進めるためには、微生物の働きが必要です。微生物が存在することによって、食品は発酵を進めることができます。作りたい発酵食品の種類によっても、必要な微生物の種類は異なります。大切なのは、それぞれの食材に合った微生物を選んで使用することです。正しく微生物を選ぶことにより、発酵をきちんと進めることができます。食材を正しく発酵させることができれば、おいしくて保存のきく発酵食品を作ることができます。発酵させた食品は旨みやコクがより強くなるため、元の食材以上においしく食べられる可能性が高いです。

発酵のさせ方は、食材や作りたい食品によっても違います。発酵に使用できる微生物にもさまざまな種類があり、国によっても異なる種類が使用されています。発酵食品は日本だけでなく、世界各地で使われている食品の加工方法のひとつです。発酵には味をよくする効果と保存性を高める効果があるため、幅広い場所で古くから重宝されてきました。いまでも多くの人々に発酵食品が親しまれているのは、そのような歴史に裏打ちされているからであるともいえるでしょう。発酵食品は長い歴史の中で生み出されたものであり、人々のさまざまな知恵が結集された調理方法です。発酵の技術をしっかりと取り入れていけば、食材のおいしさをよりしっかりと活かすことができるでしょう。発酵食品を積極的にとり入れて、よりおいしく食材を楽しんでみてはいかがでしょうか。