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味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

幼いうちから子どもに対して食育を行うことは、子どもの味覚を育てるためにとても重要です。もしかすると、子どもが小さいうちはまだ味覚が発達しておらず、味をうまく判別できないと思っている人もいるかもしれません。しかし、実際はその逆で小さな子どもほど味覚は敏感で、少しの味の違いにも大人以上に強い反応を示します。

今回は、幼児期から食育を取り入れるべきである理由について、子どもの味覚の形成時期やその仕組みを交えて紹介します。

味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

幼児期から食育を行うべき理由

味覚が決まるのは3歳?幼児期から食育をすべき理由

人間の味覚は3歳までの食事の経験に大きく左右されます。それは、子どもの味覚はとても敏感で、大人になるにつれて鈍化していくからです。味覚がより敏感なうちにさまざまな味について学ぶことは、好き嫌いをせずに食べる習慣を身につけるために必要不可欠なことです。 家族や仲間との食事の場は、子どもの心を豊かにしたり、基本的なマナーを身に付けたりするための貴重な機会にもなります。食育には幅広い意味があり、子どもの健やかな成長を後押しする重要な役割を担っています。

味覚の仕組み

味覚の仕組み

人間は味覚でさまざまな味を感じ、それをもとにいろいろな判断を下しています。まずは、人間の味覚の仕組みについて理解しましょう。

味覚の種類

味には、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5つがあると言われています。これらの味は、舌の「味覚」によって感知され、身体はそれによって食べ物の種類を判断しています。甘味はエネルギー源となる糖分、塩味は体内のバランスを整えるミネラル、酸味は食べ物が腐敗している可能性、苦味は毒、うま味は身体を作るために必要なタンパク質の存在を示す信号です。味覚はこのように、口に入った食べ物の性質を瞬時に識別することができるため、生きていくために必要なもの選ぶ重要な能力であるとも言えます。

「味蕾」の役割と発達

人間の舌の表面はブツブツしていますが、その1つ1つが味覚を感じ取るための器官です。これは、「味蕾(みらい)」と呼ばれています。すべての味蕾は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味のすべてを感じ取ることができます。脳が味を認識できるのは、味蕾が味を感知すると神経が刺激されて脳に信号が送られるからです。 生まれたばかりの子どもの舌には味蕾が1万個あり、生後3ヶ月頃まで増え続けます。このときが人生のなかでもっとも味覚が敏感な時期です。そして、生後5ヶ月には味覚の鈍化がはじまります。とはいえ、大人に比べれば、味覚はまだまだ敏感な状態です。味蕾は刺激物を食べたり、喫煙をしたりすると摩耗しやすくなります。成人男性になると味蕾は7000個、高齢男性では3000個になります。

幼児の味覚の幅を広げるポイント

味覚がより優れている小さいうちに、味に関するさまざまな経験をさせてあげましょう。そうすることで、子どもの味覚の幅が広がります。

さまざまな素材の味を経験させる

さまざまな食材を使い、いろいろな食べ物の味を経験させましょう。調味料で味を変えることよりも、素材そのものの味を感じられる食事を用意してください。味付けは基本的に和風で、だしの風味を生かした調理がおすすめです。ただし、煮込みうどんや寄せ鍋のように、いろいろな食材が混ざっている料理は、それぞれの素材の味がわかりにくくなるため、毎食続けて食べさせることは避けましょう。 とくに、ケチャップやソース、マヨネーズなどは使わないようにしてください。これらの調味料は味が濃いため、素材本来の味を隠してしまいます。味覚が敏感なうちから味が濃い食べ物に慣れてしまうと、大人になるにつれて、より味の濃い食べ物を好むようになってしまう可能性があります。

繰り返し食べて嗜好を定着させる

砂糖や油は病みつきになりやすい味だと言われています。そのため、大人のなかにもそれらを過剰に摂取する人も多いのが現状です。子どもが砂糖や油を必要以上に摂取しないようにするためには、砂糖や油が「病みつき」の状態になる前に、和風のだしのうま味を覚えさせることが重要です。実は、砂糖や油と同様、このうま味も繰り返し摂取することで人間の舌にとって「病みつき」になる作用があります。現代では、かつおだしなど和風のだしのおいしさに触れる機会が少なくなっていますが、天然の素材からとっただしを利用した料理を食べるのは、とくに子どもにとっては大きな価値があることです。

食事を楽しめる環境をつくる

子どもに、身体にいい食習慣を身に付けさせるためには、「食事は楽しい」という気持ちを強くもたせることに重きを置きましょう。家族で食卓を囲み、親や兄弟と食べ物のおいしさについて共感し合いながら食事をすることは、子どもの食に対する興味を育てます。また、子どもは3歳までに食べ物に対する基本的な考え方や味の好みが決まると言われていますから、この時期に家族でしっかり子どもと食べ物の関係を見守り、好き嫌いをせずに食事をすることの大切さを教えることが大切です。 さらに、それぞれの食べ物に関しても、子どもが感じる食べにくさを取り除き、口に運びやすくなる工夫をすることも重要です。たとえば、固い素材は火を通して柔らかくしたり、繊維の多い野菜はそれを取り除いたりするなど、子どもが違和感なく食材を食べられるようにしてあげましょう。子ども口の大きさに合わせて小さくカットしたり、とろみをつけたりするのもおすすめです。

食べ物の好き嫌いを決めるのは「学習」

子どもの食べ物の好き嫌いは、味の「学習」によって決まります。たとえば、大人の場合も、初めて食べた食べ物を最初のうちは「嫌いだ」と感じていても、まわりの人がおいしそうに食べている姿を見たり、何度か食べたりしているうちに、「おいしい」と感じるようになることがありますよね。味の「学習」とはこのことを言います。 つまり、子どもの「好き嫌い」も状況によって変化する可能性があるということです。子どもが嫌いな食べ物が多い場合は、食べ物の食べ方を工夫することで、徐々に好きになる可能性もあります。味の「学習」には、次の種類があります。

安全学習

「安全学習」とは、自分にとってはじめての食材を食べて「おいしい」と感じることです。食べたことがないものを食べる際は不安や恐怖が伴います。しかし、少しずつ試しながら食べることで、いろいろな食べ物のおい しさを知ることができ、味覚を広げることが可能になります。

嫌悪学習

「嫌悪学習」とは、ある食べ物を食べた直後に身体の調子が悪くなった場合などに、その食べ物の味を不快な味として記憶することです。たとえば、それまで好きだった食べ物でも、食あたりや食中毒によって嫌悪学習することで、その食べ物が嫌いになってしまうこともあります。

嗜好学習

「嗜好学習」とは、「嫌悪学習」の逆で、ある食べ物を食べたあとに身体の調子がよくなった場合、その食べ物をおいしいものとして記憶することです。たとえば、風邪や体調不良で寝込んでいるときに何か食べ物を食べ、そのあと急激に体調がよくなるという経験をすると、嗜好学習によりその食べ物に好感をもちやすくなります。

連想学習

「連想学習」とは、自分自身の記憶と結びつくことによって、ある食べ物を好きまたは嫌いだと感じるようになることです。たとえば、家族で楽しいひとときを過ごしながら食べた物をとても好きだと感じたり、反対に、親に強く怒られて落ち込んだ気持ちで食べたものが嫌いになったりすることです。

幼児期からの食育で子どもの味覚の幅を広げよう

幼児期からの食育で子どもの味覚の幅を広げよう

味覚は、食べ物を食べはじめるころから形成されます。ほとんど大人と同じメニューを食べられるようになる3歳頃には、その子どもの味覚はほとんど出来上がってしまいます。そのため、小さいうちから子どもの味覚には気を使い、食材や味つけにはこだわりをもつことが重要です。

子どもが食べ物を好きになるかどうかのポイントは、味が好きか、おいしいかということだけではありません。家族や仲間と楽しく食事をする経験をたくさん積むことも、子どもの味覚を発達させるための大きなカギとなります。