食育とは
食育とは、「生きる上での基本」であり、「知育・徳育・体育の基礎となるべきもの」と位置付けられています。具体的には、様々な経験を通じて「食」に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることを指します。食育は、「食」に関する以下の3つの柱から成り立っています。食の知識: 食材や栄養に関する知識、料理の基本、食品安全など、食の選択: 自分の健康やライフスタイルに合った食を選択する力、食の实践: 自分で食事を作り、食べ、感謝の気持ちを持つこと、食育は、生涯にわたって必要とされるものであり、乳幼児期から高齢者まで、あらゆる世代が対象となります。
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食育はなぜ必要?
近年では、ファストフードやレトルト食品などの味の向上、共働き家庭の広がりなどにより、子供の食生活の乱れが危険視されています。偏った栄養や添加物過多による子供の肥満やアレルギー、家族がバラバラに食事をすることに起因する欠食のほか、マナーや食への興味・関心の欠如といった問題が浮上しており、早急な食習慣の改善が求められています。 このように、子供を取り巻く食の環境が大きく変化していることを踏まえて、2005年に「食育基本法」が制定されました。食育基本法は、「国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進する施策」であり、健全な食生活や伝統的な食文化の継承、健康の確保、低下傾向にある食料自給率や、廃棄食材の問題を地球規模で考えるための判断力など、食に対する知識と理解を深めることを推進しています。 食育基本法は全国民を対象とした法律ですが、心身ともに発達途中の乳幼児期の食生活は、生涯の健康や食習慣に大きく影響することから、食に対する環境づくりがより重要視されています。実際に、保育園など子供を預かる現場では、厚生労働省が定める「保育所における食育に関する指針」のもと、理想とする「5つの子ども像」を掲げ、子供一人ひとりの食べる力を豊かにはぐくめるような指導を取り入れています。5つの子ども像
- おなかがすくリズムの持てる子供 規則的な生活習慣や適度な運動の実施などにより、決まった時間に空腹となるリズムをはぐくみます。
- 食べたい物、好きな物が増える子供 子供が喜ぶ食事を提供するだけでなく、食材の味や食感を実感したり、旬や産地などの学びから食に興味を持ったりできるよう、保育やイベントを通して「食事を味わう」ための工夫をしています。
- いっしょに食べたい人がいる子供 誰かとともに食事をすることは、食の楽しさを味わう上で大切な要素です。先生や生徒複数人で楽しく食事をする経験を通して、マナーやコミュニケーション能力などを養ったり、孤食や欠食を回避したりすることにつながります。
- 食事づくりや準備に関わる子供 野菜の栽培や収穫、給食の当番活動など、実体験を通して、食事への関心や感謝の心、マナーなどを身に付けられるような指導を行っています。
- 食生活や健康に主体的に関わる子供 食が健康にどう関係しているかを知ったり、食事に関する話題を通して自分なりの考えや興味を引き出したり、食べる楽しさを実感して食や健康への関心を高め、みずから関わっていける姿勢を築ける取組みを大切にしています。
このような指導をする上で欠かせないのが「食」の知識です。正しい情報を知っていることはもちろん、年齢ごとの違いをしっかりと把握した上で、好き嫌いの激しい子供や食事量に偏りのある子供、アレルギー体質の子供など、一人ひとりに寄り添った対応力が必要不可欠となります。「食育」を学ぶことで、成長段階や個別の対応についての知識が豊富になり、食における適切な判断ができるようになります。