音楽療法って?定義やその歴史について見てみよう
記事更新日:2024年6月11日音楽療法には、さまざまな高い効果があると言われています。音楽療法とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。また、音楽療法はどのような歴史を経て出来上がったものなのかについても気になるところです。音楽療法を取り入れたいと考えるのであれば、そういった点についても理解を深めておいたほうがいいでしょう。
今回は、音楽療法について定義や歴史を説明します。音楽療法について知りたいという場合は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
音楽療法とは
音楽療法とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。ここでは、音楽療法について定義やその歴史について確認しておきましょう。
音楽療法の定義
音楽療法とは、音楽の力を使ってリハビリテーションをおこなうことを意味しています。音楽ならではの特性を生かすことにより、心身の状態を改善することを目的としています。音楽療法をおこなう人は音楽療法士とよばれており、日本では日本音楽療法学会(JMTA)が認定制度も設けています。
音楽療法の歴史
音楽療法の歴史はあまり古くはありません。音楽療法の考え方が生まれたのは、20世紀のアメリカです。第二次世界大戦後に健康のケアを目的として発展してきました。そもそも音楽療法に注目が集まったのは、病院にミュージシャンが来て演奏をおこなうと、患者に目に見える変化が表れることが分かったからです。 音楽療法の考え方は、その後世界にも広まっていきました。日本では1986年にバイオミュージック学会、1994年に臨床音楽療法協会が発足しています。また、2001年には2つの団体が合同で「日本音楽療法学会」を設立しました。これは、近年は日本でもより音楽療法への関心が高まっていることを意味しているといえるでしょう。
音楽療法の効果
音楽療法には、具体的にどのような効果があるのでしょうか。音楽療法では、音楽がもつさまざまな特徴を活用します。それにより、音楽療法を受けた人はいろいろな効果を得ることができます。たとえば、音楽療法にはイライラしている気持ちを落ち着ける効果もあるといわれています。また、落ち込んだときに音楽療法を受けることで、気分転換をすることも可能です。音楽療法のメリットは、音楽を通じて他者とコミュニケーションをとることができるという点にもあります。音楽を身近に感じると、人は自然にそのリズムに同調して体を動かしたくなるものです。音楽療法には、その人の心身の状態を無意識にコントロールする力を期待できます。
音楽療法の種類
音楽療法としては、どのような種類があるのでしょうか。音楽療法は、いくつかの種類に分けることが可能です。音楽療法の種類について確認しておきましょう。
能動的音楽療法
能動的音楽療法は、自ら音楽を奏でておこなう方法を意味します。実際に楽器を演奏したり、歌を歌ったりすることもあります。その人のレベルに合わせて音楽療法を実践できるのが特徴的となっています。
受動的音楽療法
受動的音楽療法は、音楽を聴いて楽しみながらおこなうものです。体を自分の意思で細かく動かすのが難しい人であっても、受動的音楽療法なら簡単に取り入れることができます。それでいて音楽の効果をしっかりと得られる方法となっています。
個人音楽療法
個人音楽療法は、音楽療法を受ける人が個人で音楽に関わる方法です。自分自身と音楽のかかわりに集中し、リラックスしながら音楽療法の効果を感じることができます。
集団音楽療法
集団音楽療法は、周囲の人とともに音楽を楽しみながらおこなう方法です。音楽を通して他人とコミュニケーションをとることができます。音楽に合わせてコミュニケーションをとるため、普段よりも気軽に周囲の人と関りをもつことが可能です。
音楽療法を生かせる場面
音楽療法はさまざまな場面で生かすことができます。具体的には、音楽療法はどのような場面で活用されているのでしょうか。ここでは、音楽療法を生かせる場面について、代表的なものを紹介します。
子どもの発達支援
音楽療法は、子どもの発達支援にも役立てることが可能です。子どもによっては、心理的に問題を抱えている場合もあります。そのような場合でも、音楽療法によって心をケアすることにより、効果的に発達を促すことが可能になります。音楽によって楽しみながらケアをおこなうことができるので、慣れないことを怖がる子どもであっても比較的心を開いてもらいやすいのが特徴的です。
痛みの緩和
音楽療法は痛みの緩和にも効果を発揮します。病気や事故によって体に痛みが生じている場合でも、音楽療法を取り入れることにより、その痛みを和らげることが可能です。音楽によって楽しい気分を味わうことにより、痛みを忘れさせることができます。
心理的なケア
音楽療法は心理的なケアもおこなうことができます。さまざまな出来事を経験したことにより、心にトラウマを抱えている人もいます。そのような人に対して音楽療法をおこなうと、気持ちを穏やかにしてトラウマを和らげる効果を期待できます。ほかの心理療法とも組み合わせながらおこなうと高い効果を期待できます。
介護予防
音楽療法は介護の現場でも利用されています。音楽療法によって音楽を楽しみながらコミュニケーションをとったり体を動かしたりすることにより、介護度が高くならないように予防することが可能です。場合によって介護の度合いを低くし、自立を促すこともできます。
認知症ケア
介護の現場で音楽療法が取り入れられており、それは認知症ケアにも役立てられています。音楽によって適度な刺激を与えることで、認知症の症状の進行を抑える効果を期待できます。認知症の人の笑顔を引き出すことにより、より高い効果を得ることができます。
リハビリテーション
音楽療法は病気やケガのリハビリテーションの場面でも活用することが可能です。リハビリテーションに音楽療法を取り入れることにより、リハビリテーションに対する苦しい気持ちを和らげることが期待できます。リハビリテーションと音楽療法の組み合わせには、高い効果が期待できるでしょう。
音楽療法の定義や歴史を理解しておこう
音楽療法を実践するなら、音楽療法の定義や歴史についても理解しておいたほうがいいでしょう。音楽療法は、音楽を取り入れることでさまざまな効果が認められたところから歴史がスタートしています。そこまで古い歴史がある療法ではないですが、たしかな効果があると認められています。実際、落ち込んでいるときに音楽を聴くと、気持ちが穏やかになったり元気になったりすることがありますよね。音楽療法はそういった仕組みを活用し、より専門的に体系立てた考え方です。音楽療法を取り入れれば、さまざまなところで効果的なケアをおこなうことができるようになるでしょう。
もちろん、音楽療法をおこなったからといって、必ず症状が改善するわけではありません。人によっては効果が出にくいこともあります。薬や手術とは異なるものなので、個人差があるのは当然のことです。しかし、場合によっては音楽療法によって高い効果を得ることも可能です。何かケアをしたいことがあるなら、音楽療法を取り入れることは重要な意味をもつでしょう。音楽療法の定義や歴史をしっかりと理解して、適切にケアに取り入れられるようにしましょう。