カウンセリングで用いられる実践的な心理学「NLP」とは?
記事更新日:2024年6月11日心理学の分野のひとつである「NLP」は、ビジネスやスポーツの世界などでも幅広く活用され、注目が集まっています。しかし、NLPという言葉を聞いたことはあっても、「どういったものなのかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
ここでは、心理学のNLPによる効果や活用シーンのほか、代表的な手法などについて解説します。
目次
NLPとは何か?
NLPは、最近注目が高まりつつある心理学の分野のひとつですが、まだ一般的にはあまり知られていないのが現状です。NLPとは、いったいどのような心理学なのでしょうか。
「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれる実践的な心理学
NLPは「Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)」の頭文字を取った言葉で、別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれる実践的な心理学です。
NLPが生まれたのは1970年代のアメリカで、欧米を中心にセラピーやカウンセリングの現場などで使われていました。現在では、ビジネス、スポーツ、医療、教育、育児など、幅広い分野で活用されています。
天才セラピストたちの分析・研究から生まれた
NLPの研究は、1970年代に天才と称されていた3人のセラピストを分析することから始まりました。その天才セラピストとは、催眠療法家のミルトン・エリクソン、ゲシュタルト療法家のフレデリック・パールズ、家族療法家のヴァージニア・サティアです。
彼ら3人は、それぞれ異なるアプローチ方法でセラピーを行い、圧倒的な治療効果を上げていました。そして、この3人の天才セラピストの言語や行動パターンを分析し、体系化したのがNLPの始まりといわれています。
思考や行動のパターンを最適化する手法
人の思考や行動のパターンを最適化する手法が、NLPです。人間は、体験した出来事を五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)で認識し、言語と非言語で意味付けをして記憶として定着させます。その積み重ねによって考え方や思い込みが作られ、ある程度年齢を重ねると思考や反応の仕方に一定のパターンが生まれます。これをNLPでは、「プログラミング」といいます。
このプログラミングは、コンピューターのプログラミングと同様に、一度設定されると条件反射のように同じパターンを繰り返すようになります。
例えば、「自分に自信がない」「自分は能力がない」などの苦手意識がプログラミングされていると、その人の行動にとってマイナスに働いてしまいます。 NLPでは、このプログラミングの構造を紐解き、再プログラミングをする方法を確立してきたのです。
世界の著名人にも多く取り入れられている
元々は、セラピーやカウンセリングの現場で生まれたNLPですが、現在では芸能人やプロスポーツ選手、経営者など多くの著名人に活用されています。特に、アメリカでは高い認知度を誇り、オバマ元大統領やクリントン元大統領、レーガン元大統領もNLPを取り入れていたといわれています。
もちろん著名人だけでなく、日本でもビジネスパーソンからセラピスト、子育てをする主婦まで、幅広い層がNLPを学んでいます。
NLPの効果とは?
実践的な心理学といわれるNLPですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。NLPから得られる効果や学びには、おもに次のようなものがあります。
成功者のような思考パターンや行動パターンが身に付く
一流といわれる人をまねすることで、その思考パターンや行動パターンを身に付けることが可能になります。NLPを活用して、成功者をモデルに研究すれば、短時間でその相手と同様の結果を目指すことができるともいわれています。
コミュニケーション能力が向上する
NLPを学ぶことで、人と信頼関係を築く手法やレベルの高い会話能力を身に付けることができます。NLPの理論に基づき、活用することで、コミュニケーション能力を高めることができるでしょう。
理想の自分に向けモチベーションを上げられる
NLPでは、自分自身の思考や行動をコントロールすることもできます。「自分はダメな人間だ」と自己否定しがちな人でも、NLPを活用すれば短時間でモチベーションを上げることが可能となるのです。また、心が落ち込んだときのメンタル回復にも効果的だといわれています。
リーダーシップが発揮できる
NLPには、リーダーシップを発揮する効果もあるとされています。コミュニケーション能力を上げ、相手と短時間で信頼関係を築けるようになれば、周りに影響を与えたり人の心を動かしたりすることも可能だからです。
体の使い方を改善できる
NLPは、言葉によるコミュニケーションだけでなく、表情やボディランゲージ、体の使い方などのスキルも含まれます。そのため、NLPを学ぶことで、体の使い方も改善できるといわれています。多くのアスリートがNLPを取り入れていることも、それを裏付けるものといえるでしょう。
代表的なNLPの手法
NLPを使った手法には、さまざまな種類があります。その中から、代表的な手法をいくつかご紹介しましょう。
モデリング
モデリングは、成功者のまねをすることで、一流の人と同じ結果を出すことを目指すテクニックです。仕事や恋愛など、自分が目指す結果を得ている人を見つけ、その人の中に自分が入り込むイメージを持ちます。その人の言葉や行動、価値観などを自分自身に取り入れることで、短時間で望む結果が得られるといわれています。
キャリブレーション
キャリブレーションは、相手の動きや表情、話し方、呼吸などを細かく観察し、その変化に気付くことができるというスキルです。キャリブレーションを活用することで、相手の価値観や感情を読み取ることができ、深いコミュニケーションをとったり信頼関係を築いたりするのに役立ちます。
リフレーミング
リフレーミングは、物事に対する捉え方を根本から変える手法です。人は怒ったり悲しんだりしているとき、ひとつの見方にとらわれてしまいがちです。しかし、別の見方ができれば、ネガティブな感情から早く抜け出せるようになります。何か失敗をし、「もうダメだ」と落ち込んだときに、「失敗の原因がわかって勉強になった」というように、違う見方を示すのがリフレーミングです。
アイ・アクセシング・キュー
アイ・アクセシング・キューは、アイ・パターンとも呼ばれ、相手の目の動きから考えを読むテクニックです。人は一般的に、想起や記憶をするときは右側を、構成や想像をするときは左側を見るといわれています。アイ・アクセシング・キューを活用すれば、相手の視線の方向を読み、その思考パターンを見分けることができるようになります。
NLPの知識やスキルを活かせるフィールド
NLPの知識を活かせるのは、心理学の世界だけではありません。ビジネスから家庭生活まで幅広いフィールドで活用することが可能です。
心理カウンセラーとして活躍する
NLPは、元々セラピーやカウンセリングの現場で生まれた実践的な心理学です。日々、さまざまな相談に対応する心理カウンセラーにとって、NLPを学ぶことは非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。
コミュニケーション能力の向上や相談者との信頼関係の構築、感情コントロールの実践などに活かすことができ、カウンセリングのスキルアップが期待できます。
仕事に活かす
NLPはビジネスシーンでも多く活用されており、経営者や一流のビジネスパーソンにも多く取り入れられています。顧客や取引先との良好な関係を築いたり、商談や交渉をうまく進めたりするテクニックが身に付くため、営業・接客・販売などの仕事に役立つでしょう。
マネジメントやマーケティングに活かす
NLPのテクニックを活用すれば、相手の気持ちを理解し、価値観を共有できるようになります。社内の人間関係を良好にして部下の自信を引き出すといった、マネジメントにも非常に有効といえるでしょう。
また、NLPによって得られるコミュニケーションスキルは、マーケティングにも活用できます。NLPのスキルを用いて顧客のニーズを的確につかみ、最適な提案やセールス活動につなげることが可能です。
子供への教育に活かす
NLPを学ぶことで、カウンセリングスキルやコーチングスキルなどを幅広く身に付けることができます。子供への声掛けややる気の引き出し方など、家庭でもすぐに実践することが可能です。
自分自身のメンタルトレーニングにも役立つ
感情コントロールを学ぶことができるNLPは、自分自身のメンタルコントロールにも役立ちます。ネガティブな考え方を切り替えたり、成功のイメージを強く持ったりすることで、理想とするビジョンへ向けて進むことができるでしょう。
NLPは仕事やプライベートなど幅広い場面で活かせる
NLPは、おもにカウンセリングやコーチングで用いられる実践的な心理学ですが、仕事や家庭などさまざまなシーンで活用されています。NLPを活用することで、セルフマネジメントを可能にし、コミュニケーションスキルを向上させるなどの効果が期待できます。
「自分を変えたい」「仕事で成功したい」という人は、日々の生活にNLPを取り入れてみてはいかがでしょうか。