産業カウンセラーになるには?資格と活躍できる場所、仕事内容を紹介 | 資格取得の通信講座・通信教育SARAスクール
現在位置
通信教育・通信講座SARAトップ > 心理学・カウンセラーの資格取得講座一覧 > 心理カウンセラー資格・メンタル心理資格取得講座 > 産業カウンセラーになるには?資格と活躍できる場所、仕事内容を紹介

産業カウンセラーになるには?資格と活躍できる場所、仕事内容を紹介

仕事をする上で、業務内容や職場の人間関係といった悩み・ストレスを抱えている人は少なくありません。産業カウンセラーは、このような悩みを抱えている働く人の相談にのり、問題の解決に向けてサポートする存在です。
ここでは、現代社会で産業カウンセラーが求められている背景と具体的な仕事内容のほか、産業カウンセラーになるための方法や資格について解説します。

産業カウンセラーとは?

産業カウンセラーとは、産業を取り巻く現場で働く人たちのメンタルをサポートする心の専門家です。まずは、産業カウンセラーの特徴について解説します。

日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格

産業カウンセラーとは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の民間資格です。産業カウンセラーと名乗って仕事ができるのは、この資格を保有している人ということになります。
産業カウンセラーの資格は、1992年から2001年までは労働省(現在の厚生労働省)が認定する技能審査資格という公的資格でしたが、現在は民間資格となっています。

働く人のメンタルサポートを担う

産業カウンセラーのおもな仕事は、企業などで働く従業員のメンタルヘルス対策(心の健康確保対策)のためのカウンセリングです。働く人やその家族を対象にし、職場の問題、ストレスチェック、キャリア形成などについてのサポートを行います。

企業内カウンセラーと産業カウンセラーの違い

産業カウンセラーとよく似た言葉に「企業内カウンセラー」があります。産業カウンセラーは特定の民間資格とその保有者を指しますが、企業内カウンセラーは、企業で働く人の心の問題を扱うカウンセラー全般のことを指します。
企業内カウンセラーは、「職場カウンセラー」「社内カウンセラー」などと呼ばれることもあります。しかし、仕事内容は産業カウンセラーとほぼ同じ場合が多く、従業員のメンタルヘルス対策が大きな役割となります。

産業カウンセラーが求められる理由

産業カウンセラーが求められる理由

近年、職場における従業員のメンタルケアが重視されるようになっています。それに伴い、多くの企業で産業カウンセラーのニーズが高まっています。その理由には、おもに下記のようなものが挙げられます。

仕事や人間関係にストレスを感じる人が急増している

仕事の量や責任、職場における人間関係など、多くの人が仕事でなんらかのストレスを感じている現状があります。
厚生労働省による「労働安全衛生調査」(2018年)でも、仕事や職業生活に関することで強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は、58.0%となっています。ストレスは、仕事の質を低下させたり心身の健康に影響を及ぼしたりするほか、放置しているとうつなどの重大な問題にもつながる可能性が高まります。

職場環境や働き方の多様化

現代社会では、企業の在り方や雇用状況が大きく変化し、働く人が自分だけでは解消できないストレスを抱えてしまうケースも増えています。また、非正規雇用やテレワークといったさまざまな働き方や労働環境の中で、働く人の悩みも多様化しています。
このような問題を解決に導くには、メンタルの専門家の存在が不可欠といえるでしょう。

従業員のメンタルヘルスケアは企業の務めである

近年、「従業員のメンタルヘルスケアは企業としての務め」という考え方も一般的になってきました。特に、性的な言動によって、労働者が不利益や不快感を受けるセクハラ(セクシャルハラスメント)や、組織・上司が職務権限を使って、部下に対して適正な範囲を超えて圧力を与えるパワハラ(パワーハラスメント)で従業員がメンタルに不調をきたすようなケースも増えています。
これらが原因となる場合、組織としての責任を問われてもおかしくありません。普段からカウンセリングの場を設け、従業員のメンタルヘルス対策を行うことは、経営者や責任者にとっても重要な任務のひとつとなっています。

産業カウンセラーのおもな仕事内容とは?

産業カウンセラーの活動領域は、おもに「メンタルヘルス対策」「キャリア開発」「人間関係開発」の3つとされています。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

メンタルヘルス対策

産業カウンセラーは、カウンセリングで従業員の心の問題に寄り添い、すこやかな社会生活へ導くという役割を担います。企業で働く人々は、雇用の不安定化や成果主義の導入などによって、非常に大きなストレスを抱えていることも少なくありません。ストレスが溜まると仕事の効率や集中力が低下するばかりか、些細なミスから大事故につながったり、うつ病を発症して長期休職せざるをえなくなったりするケースも考えられるのです。このような事態にならないよう、メンタルヘルスの維持や改善をサポートします。

キャリア開発

キャリア開発の支援を行うことも、産業カウンセラーの役割です。業務のデジタル化や就業形態の多様化などに伴い、キャリアアップや能力開発に不安を感じる人も増えています。
カウンセリングでは、キャリアに関する希望や悩みの相談にのり、その人らしい生き方の実現へ向けて、サポートを行います。

人間関係開発

産業カウンセラーは、働く人が成長できるような人間関係を形成するためのアプローチを行うこともあります。
具体的には、職場における上司と部下の関係性や、経営への参加意識を高める組織づくりの提案、コミュニケーションスキルの向上を図る研修の実施などが挙げられます。

産業カウンセラーが活躍できる場所とは?

産業カウンセラーが活躍できる場所とは?

産業カウンセラーがカウンセリングを行うのは、どのような場所があるのでしょうか。続いては、産業カウンセラーが活躍するフィールドについてご紹介します。

一般企業

最近は、従業員のメンタルケアのために、専用の相談室やカウンセリングルームなどを設ける企業も増えています。産業カウンセラーは相談室などに常駐し、従業員のカウンセリングを行ったりメンタルヘルスに関する研修を開催したりします。
なお、企業によっては、人事部や総務部、管理職の社員などが産業カウンセラーの資格を取得し、従業員のストレスチェックやメンタルヘルス対策にあたるケースもあります。その場合は、カウンセリングだけを専門に行うのではなく、所属する部署の業務も並行して担当します。

学校や役所などの公的機関

産業カウンセラーは、学校の教職員や役所などの公務員を対象に、心の問題に関するカウンセリングを行うこともあります。学校に勤務する場合は、児童・生徒や保護者からの相談に対応するスクールカウンセラーを兼ねるケースが多いようです。

独立・開業

産業カウンセラーとして独立・開業する人もいます。自分のカウンセリングルームを開けば、多種多様な業種・職種の人のカウンセリングを行うことができるでしょう。
さらに、講演や研修を行ったり、産業カウンセラーとして独立したい人の養成講座を開いたりすることもできます。

産業カウンセラーになるための方法

ストレス社会ともいわれる現代において、産業カウンセラーの存在価値はますます高まっています。では、産業カウンセラーになるためには、何をすればいいのでしょうか。

心理学の知識と傾聴スキルを身に付ける

産業カウンセラーとして働くなら、心理学の専門知識は必須です。また、カウンセリングの基本は傾聴と対話ですので、これらのスキルを身に付ける必要があります。
傾聴とは、相手の話に深く丁寧に耳を傾け、その心に寄り添うこと。傾聴によって信頼関係を構築すると同時に、相談者が自分だけではわからなかった問題解決への気付きを促します。

産業カウンセラーの資格を取得する

産業カウンセラーとして仕事をするには、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する産業カウンセラーの資格取得が必須です。資格試験を受けるには、所定の養成講座を受講するか、大学や大学院で所定の科目の単位を取得するといった条件があります。試験に合格後、日本産業カウンセラー協会に登録を行うことで、産業カウンセラーの呼称を使用して活動することができます。

心理カウンセラーの資格を取って企業内カウンセラーとして働く

産業カウンセラーの呼称を用いずに、企業内カウンセラーとして働く場合は、必須となる資格はありません。とはいえ、従業員のメンタルケアを行うには専門知識の習得は不可欠であり、スキルの証明のためにも、なんらかの資格の取得が望ましいでしょう。
心理カウンセラーの資格を取得して企業内カウンセラーとして勤務し、カウンセリング経験を積みながらスキルアップを目指すのもおすすめです。

ストレス社会においてニーズが高まる産業カウンセラー

長時間労働、きびしい成果主義、労働形態の変化など、働く人々のストレス要因は多様化しています。同時に、ストレスによる心身の健康への悪影響も社会的な課題となっているのが現状です。
そのため、働く人の心の問題を改善・予防するという大きな役割を持つ、産業カウンセラーの需要はますます高まっていくといえるでしょう。

心理カウンセラー資格・メンタル心理資格に関する記事一覧